DTMを始めるときに揃えたいものの中に、パソコン上で作曲・録音・編集・ミックスを行える音楽制作ソフト「DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)」があると思います。
個人的には、以前「Cakewalk Sonar」を使用していたのですが、その後から「Ableton Live Suite」を使用しています。音楽作成専用のスタンドアロンPCにインストールして、バージョンは9、10、11とアップさせてました。
そのうち、そのPCの電源を入れて作業をはじめることが少し負担になってきたので、はじめの段階のスケッチ用に「Live 11 Lite」を普段使いのネットに繋がったPCに入れて使っています。
今回は、そんな愛用の「Live 11 Lite」の基本的なスペックや最上位版のDNAを受け継いだ「20個の凄すぎる機能」についてお話してみたいと思います。
Live 11 Liteってどんなソフト?(基本スペックと使用環境)
本格的なお話に入る前に、「Live 11 Liteってどんな環境で動くの?」という基本を少しだけまとめておきます。
- 発売時期:Ableton Live 11自体は2021年2月にリリースされました。
- 主な動作環境(最低限必要なスペックの目安):
- OS:Windows 10(ビルド1909以降)または macOS(High Sierra 10.13 〜 Monterey 12など、各OSのサポート範囲)
- CPU:Intel Core i5 または AMDのマルチコア・プロセッサ
- メモリ(RAM):8 GB以上
- ストレージ空き容量:基本インストールに数GB程度
最新のパソコンであれば、比較的ライトなスペックの環境でもサクサク動いてくれるのが、この世代のLite版の本当に嬉しいところです。
すぐ行動に移れる「Ableton Live 11 Lite」
Ableton Live 12も魅力的ですが、少し前のバージョンや「Lite版」も、意外ですが今でもすごく根強い人気があるようです。
調べてみたところ、2021年2月に登場した「Ableton Live 11」(およびその軽量版であるLive 11 Lite)は、シンプルで安定していることから、現在でも多くの音楽好きや初心者さんに愛用され続けているようです。
最初は「無料やハードウェアの付属についてくる軽いソフトで、制限があって曲は作りずらいのでは?」と使用していなかったのですが、思い立ったらすぐ使えるのは本当に大事なことだと気付いてからは、最適なソフトウェアだとわかりました。
1. Ableton Liveの大きな特徴「セッションビュー」と「アレンジメントビュー」
まずAbleton Liveの大きな特徴と言えるのが、画面をパッと切り替えられる2つのビューです。
- セッションビュー
音声やMIDIを小さな「クリップ」単位で録音し、それぞれの楽器や各パターンをリアルタイムにパズルのように組み合わせながらループ再生を楽しめます。
一般的なDAWや次に紹介する「アレンジメントビュー」のように左から右へ流れるタイムラインに縛られません。直感的に組み合わせを選べるので、アイデア出し(スケッチ)にぴったりです。 - アレンジメントビュー
セッションビューで「この組み合わせ、イイ感じに曲になりそう!」となれば、左から右へ時間が流れるタイムライン形式の画面へ移ります。イントロ、サビ、Aメロといった構成を並べて、1曲のかたちに仕上げていくことができます。
この「自由な思いつきをパッと試せる場所」と「しっかり1曲にまとめる場所」を行き来できる柔軟性が、音楽を作っていて本当に楽しいと感じるポイントです。
最大16個のシーン再生
セッションビューでは、横一列のクリップをまとめて再生できる「シーン」が、Live 11 Liteでは最大16個まで作成可能です。イントロ、Aメロ、サビ、アウトロといった曲の展開を、ボタン一発でドラマチックに切り替えられます。
キャプチャーMIDI (Capture MIDI)
MIDIキーボードなどを弾いていて「あ、今のフレーズ、めっちゃいい感じで弾けたのに、レコーディングボタン押していなかった!」ということ、たくさんあると思います。
でも、Liveにはそんなときの救世主として「Capture MIDI」という機能が備わっています。
Liveは常にあなたの演奏をバックグラウンドで記憶しており、後からボタンを1つ押すだけで、直前の即興演奏をMIDIクリップとして復元してくれます。
「Capture MIDI」があれば、「レコーディングボタンを押していなかった状態」で適当に弾いた演奏であっても、あとからボタンをポチッと押すだけで、直前に弾いていたMIDIフレーズを魔法のように復元してくれます。
実際の使い方はとってもシンプル!
やり方は驚くほど簡単で、以下のステップだけです。
- 録音せずに、ただ楽器(MIDIキーボードやパソコンの鍵盤など)を弾く
「お、今のフレーズいい感じに弾けたな〜」と思っても、赤い録音ボタンは押していなくて大丈夫です。 - 画面上部の「Capture MIDI」ボタンを押す
画面の上部(メトロノームや再生ボタンの近くにある、四角いブラケットのようなアイコン、またはメニューの「編集」内)にある「Capture MIDI」をクリックします。 - 自動でMIDIクリップが生まれる!
たったこれだけで、さっき適当に弾いたフレーズが、きれいにタイミングや長さを整えられたMIDIクリップとして画面に出現してくれます。
「今のは練習のつもりだったのに!」という最高のテイクほど残っていない、あの切なさを完全に解消してくれる、本当にありがたい機能だと思います。
2. 楽曲に命を吹き込む「MIDI編集・シーケンス機能」
ベタ打ちの打ち込みから脱却し、ニュアンス豊かな表現を可能にする機能が凝縮されています。
MPE(MIDIポリフォニック表現)対応
エントリー版としては異例の機能です。コード(和音)で演奏した際、特定の1音だけにピッチベンド(音程変化)をかけたり、鍵盤を押し込む強さでフィルターを変化させたりと、生き物のような滑らかな表現が可能になります。
ノート発音確率 (Note Chance)
MIDIノートごとに「何%の確率で音が鳴るか」を設定できます。同じ2小節のドラムループでも、再生するたびにスネアのゴーストノートやハットのタイミングがランダムで変化し、聴き手を飽きさせないパターンを自動生成します。
ベロシティ確率 (Velocity Chance)
音の強弱(ベロシティ)にランダムな振れ幅を持たせます。人間が実際に叩いたときの「打点の揺れ」をシミュレートし、機械的な打ち込みに自然なダイナミクスと温かみを与えます。
MIDIリモートコントロール・マッピング
画面上のあらゆるツマミやフェーダーを、手持ちのMIDIキーボードのノブに一瞬で紐付けることができます。「このノブを回してフィルターを動かす」という直感的な作業が、設定ボタンを数回クリックするだけで完了します。
ハードウェアシンセのMIDI制御
PCの内部だけで完結させず、外にある本物のハードウェアシンセサイザーやドラムマシンへMIDI信号を送信できます。お気に入りの外部機材をLiveの強力なシーケンサーでガッチリと同期・駆動させることが可能です。
3. 自由自在に音を操る「オーディオ録音・編集機能」
Abletonの代名詞とも言えるオーディオ処理技術が、Lite版でも妥協なく投入されています。
高度なオーディオワープ機能
Liveを世界最高峰のDAWたらしめている機能です。インポートしたループサンプルの音程(ピッチ)を変えることなく、テンポだけをプロジェクトのBPMへ一瞬でカチッと同期させます。ボーカル素材やドラムループの引き伸ばしも自由自在です。
最大8チャンネルの同時オーディオ入出力
オーディオインターフェースを介して、最大8イン/8アウトまでのマルチ録音に対応します。アコースティックギターに複数のマイクを立てたり、ミニバンドの一発録りをしたりするのにも十分なキャパシティです。
最大16トラックの同時使用
オーディオとMIDIを巧みに組み合わせ、洗練された8本のトラックの中で最大限のクオリティを発揮できます。限られたトラック数だからこそ、1音1音の選択に迷いがなくなり、引き締まったスマートなアレンジが完成します。
トラックフリーズ機能
パソコンのスペックに不安があっても安心です。プラグインを多用して重くなったトラックを、ワンクリックで一時的にオーディオ化(フリーズ)し、CPUへの負荷を劇減させて動作を軽快に保ちます。
4. 音作りの核となる「付属音源・高品質エフェクト」
最近「もし、音源や機能も少ないDAWだったらどうなるのか?」と考えたことがあって、答えは簡単でした。音源やプラグインをネット上を探し回って時間がかかったり、同じ音源でイメージと違うまま進めたり…。
なぜLite版で、大事な初期アイデアの骨組み作成が成り立つのか?
それは、Live 11 Liteは、エントリー版でありながら上位版のコア機能をしっかりと受け継いでおり、Abletonが誇るシンセサイザーや、ミックスに欠かせないエフェクトをはじめとする高度な音楽制作・ライブパフォーマンスを可能にするデバイスや機能が充分詰まっているからです。
Live 11 Lite単体でも十分にプロクオリティのサウンドデザインができる、強力なデバイスたちです。
- 厳選された高品質なインストゥルメントとエフェクト
ドラムを鳴らす「Drum Rack」をはじめ、シンセサイザーの「Simpler」や各種エフェクト(EQ、リバーブ、ディレイなど)が揃っています。
数が多すぎないからこそ、それぞれの機材の音の癖や使い方をじっくり覚えて、とことん使い倒すことができるんです。 - 無限の可能性を秘めた「ラック」の仕組み
お気に入りのエフェクトの組み合わせをひとつにまとめて保存できる「ラック」機能も健在です。複雑な音作りやエフェクトのルーティングも、ラックを使えばスッキリ整理できて、自分だけのオリジナルサウンドを簡単に構築できます。
少ないからこそ迷わず、それでいてプロクオリティの音作りを楽しめる。この絶妙なバランスこそが、Lite版が長年愛され続けている大きな理由なのだと思います。
ドラムラック (Drum Rack)
1つのMIDIトラックの中に、最大128個のサンプルを詰め込めるモンスターデバイスです。キック、スネア、ハイハット、効果音などを1つの画面に集約できるため、ドラム全体の構築をわずか「1トラック」で完結させられます。
音の素材を自由に料理できる「Simpler(シンプラー)」
自分の声やそこらへんにある音のオーディオファイルを読み込んで、鍵盤で演奏できるようにする「Simpler(シンプラー)」。
ワンショットの音をシンセのように鳴らすのはもちろん、長いフレーズを自動でスライスし、ヒップホップのチョップサンプリングのような演奏も簡単に楽しめます。
オーディオ素材のお気に入りのところだけを切り取って、自分だけのオリジナル楽器やリズムキットを作れます。
空間・モジュレーション系エフェクト
Live 11で美しく刷新された「Chorus-Ensemble」や「Phaser-Flanger」が標準搭載されています。コーラスの豊かな広がりから、フランジャーのジェット気流のようなうねりまで、音に立体感を与える上品なエフェクトです。
ダイナミクス・歪み系エフェクト
最終的な音圧を整える「Limiter」や、アナログ機材のような心地よい倍音とパンチを加える「Saturator」が使えます。これらを通すだけで、デジタル特有の硬さが取れ、存在感のある太いサウンドに仕上がります。
ラックの最大16個のマクロコントロール
複数のエフェクトやインストゥルメントを1つの大きな「ラック」としてまとめ、その中の主要なパラメーターを最大16個のツマミ(マクロ)に集約できます。1つのツマミを回すだけで、複数のエフェクトが連動してダイナミックに音色が変化する快感を味わえます。
空間を支配する「ライブ演奏・ルーピング機能」
Live 11 Liteの本領発揮とも言えるのが、リアルタイムのパフォーマンス機能です。まるで楽器を演奏するようにPCを操ることができます。
フットスイッチ連動のループ操作
市販のMIDIフットペダルを接続し、画面の録音ボタンに割り当てることができます。これにより、ギタリストやキーボーディストが両手を楽器から離すことなく、足元だけでループ録音の開始・終了を完璧にコントロールできます。
テンポ追従 (Tempo Following)
Liveが外部の音(生ドラムなど)をマイク経由でリアルタイムに聴き取り、その演奏テンポを解析します。人間の揺れるグルーヴに合わせて、Live側のBPMが自動で進退する驚異の同期システムです。
5. 世界とつながる「外部連携機能」
スマートで未来的なジャムセッションの環境も、Lite版にしっかり用意されています。
Ableton Linkによる無線同期
煩わしいケーブル接続やミディ設定は一切不要です。同じWi-Fiネットワーク内にある他のPCのLiveや、Link対応のスマートフォン・タブレットの音楽アプリ(シンセやドラムマシンなど)と、テンポを完璧に同期させてジャムセッションを楽しめます。
まとめ:厳選された8品(トラック)で、最高の音楽体験を
今回は、Ableton Live 11 Liteの基本スペックや便利な使い方についてお話してみました。
Ableton Live 11 Liteが持つ「20の機能」を見渡してみると、これが単なる制限だらけの無料版ではなく、最上位版譲りの強力な武器がギチギチに詰まった「洗練された贅沢なスタジオ」であることがお分かりいただけたと思います。
たくさんのトラックに溺れることなく、選び抜かれた8品のトラック(料理)と、20種類の最高級の機能(ワイン)をじっくりと味わい尽くす。それこそが、Live Liteでのスマートで最高にクリエイティブな音楽制作の形です。
みなさんは、普段の生活や趣味の中で、音楽のアイデアを思いついたとき、一番最初にどんな方法で残していますか?
ぜひ、おすすめのスケッチ方法や感想をコメントで教えてもらえると嬉しいです。最後までご覧いただきありがとうございました。

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