シンセVitalで作る♪ボクシングの「パンッ」というパンチ音&ボクサーの息を吐く音を作る方法

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驚くほど多彩な音が作れる、高機能なソフトシンセ「Vital」。今回はボクサーのグローブのパンチが当たったときの「パンッ」という重いインパクト音と、パンチと同時に出す「シュッ」というプロの息づかいを1つのプリセットで同時に表現する設定手順をまとめました。

はじめ、パンチの音はサンプリングすることも試したのですが、周囲のノイズを拾ってしまい、断念。シンセサイザーを使ってゼロから音を作り込んでいくことにしました。

「ハッキリとした音で、それなりにリアルなパンチ音が欲しいな…」と思っている方をはじめ「ドラムのキックの音を作りたいのだけど、どうやったらいいの?」という方にも参考になると思います。

音作りに試行錯誤しながら調べたリアルな体験とコツを盛り込みましたので、ぜひ備忘録兼ガイドとして試してみてください。数値や設定名が重複しているところがありますが、調整した結果、太字が推奨になります。

Step 1: パンチのアタック音の「芯」を作る (OSC 1)

まずは打撃音の根幹となる「ドスッ」「ポン」という重い低音の芯を作っていきます。

  • OSC 1 (波形): Basic Shapes(デフォルトの Sine Wave / 正弦波)
  • OSC 1 Transpose: -12 または -24-48(低音域に設定するのがポイントです)
  • ENV 2 (ピッチ用エンベロープ):
    • Attack: 0.001secs
    • Decay: 0.100secs0.150secs0.050secs
    • Sust: 0.00
    • Release: 0.050secs
    • Decayカーブ: 線の中央を左下にグッと削るように湾曲させます。この急激なピッチ降下によって「パッ」という瞬発力が生まれます。
  • ピッチモジュレーション:
    • ENV 2 を OSC 1 の Pitch にアサインし、変調量を +36.00+48.00 に設定。
  • ENV 1 (アンプエンベロープ):
    • Vitalは初期状態でENV 1が全体の音量になっているため、ENV 1の Decay も 0.150secs 付近まで縮め、Sust を 0.00 にしておきます。(これを忘れると音があとからピチョーと伸びてしまいます)
    • Release: 0.050secs

低い鍵盤(C1〜C2付近)を押して、「ゴッ」という重いインパクトの芯ができていればOKです。

Step 2: 革グローブの「湿ったアタック感」を重ねる (SAMPLE & FX)

これだけだと乾いたスネアドラムのように聞こえてしまうので、ノイズを重ねてボクシンググローブ特有の「革がぶつかる湿った質感」に近づけます。

  • SAMPLE モジュール: 「SMP」をON にして Pink NoiseAnalog NoiseTransient 系の波形を選択。
  • ルーティング: Filter 1 へ接続。(PITCHの下をクリックしてプルダウンメニューから選択)
  • ENV 2 の適用: ENV 2 を SAMPLE の Level に アサインし、アタックの瞬間だけノイズを「パシッ」と鳴らします。
  • Filter 1 の調整:
    • Type: Analog 12dB Low Pass
    • Cutoff 14.05 semitones Resonance 39.83%
    • Cutoff を少し下げて高域の硬さを抑え、Resonance を 10〜20% ほど上げると、「ブワッ」とした厚みが生まれます。
  • EFFCTS (質感の粘り出し): にぶい質感や重さなどはここでの調整次第です。
    • Distortion:
    • DRIVE 7.173dB CUTOFF 20.07semitones
    • Soft Clip で Drive を軽く(5〜10dB)上げると、音が程よく潰れて「ベチャッ」とした革の粘り気が出ます。
    • Compressor: Single Band で Attack を極小にして潰すことで、ボテッとした手応えのある重さが出せます。
    • MODE Multiband 低域を上げて、中域を下げて、高域はその間くらいに設定するとリアル感がアップします。

Step 3: ボクサーの「シュッ」という息づかいを追加する (OSC 2 & Filter 2)

次に、パンチを打つと同時に聞こえるボクサーの発声(「シュッ」)を作ります。ここで少し工夫が必要になりました。

実は、VitalのOSC(VCO)でホワイトノイズ等の波形を選んで鍵盤を叩くと、波形の一部がループして「ポー」という管楽器のような音程感が残ってしまいます。

これを完全に消して「本物の息」にするための最大のコツが Unison です。

  • OSC 2 (波形): White Noise(または Noise 系の波形)
    • Unison: 812 に増やす
    • Detune: 20%40% 程度まで上げる
    • ※複数の波形をデチューンさせて重ねることで、音程感が完全に潰れて本物の息の質感(ノイズ)になります。
  • 音程感を消す設定(重要!): ADVANCEタブから「NOTE TRACK」をオフ
  • ENV 3 (息の長さ用エンベロープ):
    • Attack: 0.030secs0.050secs 0.095secs(パンチよりほんの少し遅らせて柔らかく立ち上げます)
    • Decay: 0.250secs0.350secs
    • Sust: 0.00
    • Release: 0.100secs 0.000secs
    • ※ ENV 3 を OSC 2 の Level にアサインします。(OSC2は、0.000)
  • Filter 2 (声の口の形を作る):
    • ルーティング: OSC 2 のみを Filter 2 へ接続(パンチ音と分離します)。
    • Type: Dirty:12dB またはFormant または Band Pass
    • Cutoff: 55.48semitones Resonance 75.42%
      または 2.50kHz4.00kHz あたりに設定。高域の擦過音(「シュ」の音)を強調します。

これで、重いインパクト音の直後に「シュッ」と息が綺麗に抜けるサウンドになりました。

Step 4: 鍵盤を叩くたびに「強パンチ・弱パンチ」をランダム変化させる (RAND 1)

仕上げに、連打したときに機械的にならず、一発ごとに強弱のニュアンスが変わる仕掛けを作りましょう。

  • RAND 1 の設定:
    • MODE: Sample & Hold を選択。(※TEMPOの表示部分ではなく「MODE」欄から変更します)
    • これで鍵盤を押すたびにランダムな数値が1つ保持されます。
  • アサイン先:
    1. OSC 1 の Pitch (変調量: +6〜+12程度): 値が高い時は重い強パンチ、低い時は軽めのパンチになります。
    2. Filter 1 の Cutoff (変調量: 10〜20%程度): 強パンチの時だけアタックの「バシッ」とした高域が開きます。
    3. ENV 1 の Decay や Level: 鳴るたびに微妙に余韻と音量が変化します。

まとめ

シンセサイザーでの効果音作りは、波形選びだけでなく「ピッチの落とし方」や「フィルターでの帯域分け」、そして「Unisonによるトーンの打ち消し」など、試してみないと気づかない面白さが詰まっているなと実感しています。

ひとつひとつのパラメータが噛み合って、思わず「おおっ!」と声をあげたくなるリアルな「バンッ!」が鳴った瞬間は最高に気持ちが良いです。

みなさんはシンセで効果音を作るとき、どんな工夫やこだわりを入れていますか?「こんな設定もおすすめだよ!」「自分はここで苦戦した!」などがあれば、ぜひコメント欄で教えていただけると嬉しいです。

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