スタジオやライブステージの定番といえば、頑丈で力強いダイナミックマイクですが、自分の部屋でボーカルやアコースティックギターの音を録音するときは、繊細なニュアンスまで捉えてくれる「コンデンサーマイク」を使用しています。
音のこもりなどを気にすることなく、まるでその場にいるかのような空気感や、息づかい、響きまでリアルに受け止めてくれるような気がします。
今回は、そんな宅録のクオリティを劇的に引き上げてくれて、愛用しているコンデンサーマイク「RODE (ロード) NT2-A」について、その歴史やスペック、他のマイクとの違い、そして実際に使ってみての感想などをお話してみたいと思います。
同価格帯マイクとの比較
このクラスのコンデンサーマイクを選ぶとき、よく比較されるのがaudio-technicaの「AT4040」あたりだと思います。どちらも実売で3万円台から4万円台前半くらいで手に入る、宅録の定番であり憧れの価格帯ですよね。
- AT4040のキャラクター:非常にフラットで、色付けが少なく、原音に忠実で素直な優等生タイプ。
- NT2-Aのキャラクター:1950〜60年代のヴィンテージマイクを彷彿とさせる、少しシルキーで華やかな高域があり、音に立体感や色気が乗るタイプ。
「とにかく忠実に録りたいならAT4040、少し華やかさや温かみが欲しいならNT2-A」と評されることが多いようです。個人的には、歌ったときに少し声が映えるような華やかさが欲しかったので、NT2-Aを選んで正解だったと思います。
伝説の「NT2」から受け継がれた進化のストーリー
コンデンサーマイクを探していると、必ずと言っていいほど目にする「RODE」というオーストラリアのメーカー。その中でも「NT2-A」は、名機として語り継がれる初期のモデル「NT2」の後継として誕生しました。
元となった「NT2」は、ヴィンテージの名機たちのサウンドを現代に蘇らせようと開発され、世界中のスタジオで愛用された伝説的なマイクでした。
そのDNAをしっかりと受け継ぎつつ、現代のレコーディング環境に合わせてさらにノイズを極限まで減らし、使い勝手をブラッシュアップさせたのがこの「NT2-A」です。
歴史的名機の血統を引いているのに、個人でも手が届く価格帯で展開してくれている。このストーリーを知っただけでも、マイクに向かうときのテンションが上がります。
NT2-Aの主なスペックと特徴
まず素晴らしいポイントと、このマイクのポテンシャルの高さを挙げてみます。
- 1インチの大口径HF1デュアルダイアフラムを搭載
- 「HF1」独自のエッジ・ターミネーテッド設計
- 指向性を「単一指向性」「双指向性」「無指向性」の3段階で切り替え可能
- ハイパスフィルター(40Hz / 80Hz)とPADスイッチ(-5dB / -10dB)を装備
- 驚異的な超低自己ノイズ(わずか7dBA)

上の矢印から、キャッチする音の範囲を設定する「指向性スイッチ」、指定した帯域より下の帯域をカットする「ハイパスフィルター」、入力音が大きすぎる場合に減衰させる「PADスイッチ」です。
「大口径(1インチ)」だからこそのリッチな空気感と低音
マイクのなかに張られている振動板(ダイアフラム)のサイズが大きいほど、空気のわずかな揺れや低い周波数をキャッチしやすくなります。
小さなカプセルだとどうしても音が細くなりがちですが、1インチの大口径のおかげで、声の太さや、アコースティックギターのボディが共鳴する豊かな低音(胴鳴り)を、まるでその場で聴いているかのような立体感とともに捉えられるようになりました。
「HF1」独自のエッジ・ターミネーテッド設計が生むシルキーな高音
RODEが自社で開発・製造しているこの「HF1」カプセルは、振動板の端を固定する「エッジ・ターミネーテッド」という高級ヴィンテージマイクに近い方式を採用しています。
安価なマイクにありがちな「耳に刺さるような痛い高音(キンキンした音)」を抑えつつ、1950〜60年代の伝説的な名機を彷彿とさせる「シルキーで滑らかな高音域」を実現しています。
息づかいの細かいニュアンスはしっかり拾うのに、聴いていて心地よい温かみが残る音質に改善されています。
このHF1カプセルのおかげで、ただ「音を大きく綺麗に拾う」だけでなく、「ヴィンテージのような色気や艶っぽさ」と「現代の宅録に必要なクリアさ」が絶妙に両立しているのが、このマイクの最大の凄さだと思います。
「デュアル(2枚の膜)」構造による多彩な指向性
HF1に配置されている、薄い振動板2枚の電気的なバランスを調整することで、マイクの向きを変えずに本体のスイッチで「単一指向性(前方の音)」「双指向性(前と後ろの音)」「無指向性(全方位の音)」の指向性を変えられます。
自分の歌声だけでなく、アコースティックギターの生々しい鳴りや、部屋の空気感まで含めたアンビエンス録音など、これ一本で色々な録音スタイルに挑戦できる懐の深さを持っています。
そして、自己ノイズの小ささです。静かな部屋で声を録音するとき、マイク自体が発する「サーッ」というノイズが少ないというのは、ミックス作業のときに本当に助かります。
RODE NT2-Aを使ってみての感想
はじめてNT2-Aを箱から出したときの第一印象は、高級感のある見た目と、ずっしりとした重さでした。本体の重厚感がすごくて嬉しかったです。付属しているショックマウント(SM6)もポップガードが一体型になっている本格的なもので、これだけでもかなりお得感がありました。
実際に声を録音してみると、息づかいまで生々しくて、表現の範囲が広がるような感じがしました。
安価なエントリーモデルだと少し硬く聴こえがちな高音域が、NT2-Aだと角が取れていて、シルクのように滑らかに伸びていく感覚があります。かといって輪郭がぼやけるわけではなく、芯がしっかりとしていると思います。
あと、宅録だとどうしても生活音やエアコンの低音が気になりがちですが、本体のハイパスフィルターをサクッと入れておくだけで、低音のモワつきをスッキリ抑えられるのが本当に実用的です。
少しだけ注意点を挙げるとすれば、本体がしっかりしていて重いので、マイクスタンドやアームはしっかりした耐荷重のものを選ぶ必要があるということくらいでしょうか。
スタンドの関節部分のネジをしっかりと締めないとズルズルっとマイクが下がってきてしまうくらいの重さがありました。まったく気にはならないけど、人によってはデメリットになるかもしれません。
それを差し引いても、自分の声やギターの音がワンランク上のサウンドに仕上がるので、歌うこと、録音が楽しくなると思います。
まとめ
今回は愛用のコンデンサーマイク、RODE NT2-Aについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ヴィンテージのロマンを受け継ぎながら、現代の宅録環境でも抜群の使いやすさを発揮してくれる、本当に頼もしいマイクです。自分の音楽制作の質をもう一段階引き上げてくれるようなマイクを探しているなら、間違いなく候補に入れて損はない一台だと思います。
みなさんは、普段の音楽制作や録音で「これだけは譲れない!」お気に入りの機材はありますか? ぜひ、みなさんのこだわりや、使ってみたい機材についてもコメントで教えてもらえると嬉しいです。

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